BIRD'S EYE
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“ジャズ歌手”朝丘雪路、健在です

2008年03月10日

 

 とある日曜日の深夜、NHK・FMでたまさか朝丘雪路のジャズ・ヴォーカルに巡り会った。スタジオでのライヴ録音で、かなり年齢差のある(21歳違い)小柴大造との共演が売りものだった。ふたりの息のあった二重唱の見事だったこと!

 

 なによりびっくりしたのは、朝丘のジャズ・ヴォーカルが王道をはずしていない点である。声自体、若々しく衰えを知らないし、ハスキー・ヴォイスから発せられる品のいいお色気も健在だった。

朝丘雪路、小柴大造の
アルバム・ジャケット
 最近、ふたりはアルバム「we're in the mood for love」(DADDY COOL ENTERTAINMENT)を出したばかりだという。早速とり寄せて聞いてみた。デュエットのほか、それぞれのソロもある。

 二重唱でいうと、たとえば「スワンダフル」だが、小柴のほうが艶のある声を響かせ、朝丘が渋い低音の魅力を発揮している。男女歌手の役割ということでは普通とは入れ替わっている。しかし、それが独特の魅力になっていないわけではない。同じデュエットの「スターダスト」しかり。

 朝丘のジャズ・ヴォーカルは、柄が大ぶりなのがいい。「クライ・ミー・ア・リヴァー」「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を聞くとそれがわかる。

 ところで、一般的に朝丘雪路はどういう存在として捉えられているのだろうか。ヴェテラン女優、それも和服のよく似合う人というのが、多くの人たちが彼女に抱いている印象と思われる。「11PM」で大橋巨泉のとなりにすわり、素っとぼけた受け答えとボイーンで人気があった時代を覚えている人も、少なくなったにちがいない。

 朝丘がジャズに目覚めたのは、随分昔にさかのぼる。1954年1月、宝塚歌劇団在籍中、「人間万歳」というショウのなかで「ストーミー・ウェザー」を歌ったのがきっかけだった。この出番のお蔭で、歌劇団内部の賞だが、新人音楽賞という賞をもらっている。

 宝塚をやめてのちのことだが、一時、朝丘はジャズ歌手のイメージが強かった。白人ジャズ・ヴォーカルの第一人者ジューン・クリスティと日劇の舞台で競演したこともある。確か朝丘は、日本語の訳詞で「ホエア・アンド・ホエン」を歌ったはずだ。 もちろん今回のアルバムは全曲英語で歌っているし、冒頭に書いたように「王道をはずしていない」。小手先のアドリブを排し、旋律に寄り添い、歌詞をきちんと把握して歌っているということである。ジャズは彼女の余技と思ったら大間違い。

 小柴の歌はかならずしもオーソドックスなジャズではないが、今日的な味わいを添えるという点では効果を上げている。

 

2008年03月10日 00:00

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