気紛れDIARY
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舞台、映画書くものすべてが大ヒットの三谷作品。最新作は上演中の「TALK LIKE SINGING」(赤坂ACTシアター、3月7日まで)です。東京公演に先立ち、09年11月、ニューヨークの舞台で腕だめしもおこなわれました。爆笑から微苦笑まで、各種笑い満載の三谷コメディです。

NY公演初日パーティにて
三谷幸喜氏(左)と
英語、日本語チャンポンの新作ミュージカル・コメディ

 超売れっ子喜劇作家・演出家三谷幸喜の最新作『TALK LIKE SINGING』が東京に先立ちニューヨークで上演された(2009年11月12日~22日、ニューヨーク大学スカーボール・センター)。出演者は香取慎吾、川平慈英、新納慎也、堀内敬子。6人編成のバンド付きのミュージカル仕立てである。作曲・音楽監督は小西康陽が受け持った。

堀内敬子(NY公演より)
(C)GION
 私は、12日のプレヴュウで観劇し、翌13日は終演後のパーティにだけ出席したが、そこでの主演俳優香取の挨拶が抜群に面白かった。まさかスピーチ原稿まで三谷が書いたわけではないと思うけれど。
「ぼくは日本では結構人気もあり有名ですが、こっちでは誰もぼくのことを知りません。でもニューヨークが気に入ったので住みつくことにしました。仕事をよろしくお願いします」
 100パーセント冗談とわかっているのだが、あまりにもきっぱり云い切ったので、いくらか本音が隠されているように感じられなくもなかった。東京での多忙な日常にくらべて、ニューヨークの街にはクリエイティヴな胎動が潜んでいることを敏感に察知したせいだと思われる。
NY公演初日パーティにて
(中央)香取慎吾
 この新作ミュージカル・コメディは、英語、日本語チャンポンで舞台に掛けられた。日本人スタッフ・キャストによる創作という観点に立てば、この公演自体、きわめて冒険的な試みだということができる。日本人であろうとアメリカ人であろうと、ふたつの言葉が完璧にわかるという観客は、そんなに沢山いるはずがないでしょうからね。

三谷が思いついたすばらしいミュージカル主人公

川平慈英(NY公演より)
(C)GION
 三谷が香取に当てて書いた主人公ターロウは、ユニーク極まりないキャラクターである。神経系統のどこかに障害があるのか、喋り出そうとすると口にした言葉が片端から歌になってしまう……。お蔭で川平演じる精神科医ダイソン博士始めまわりの人々は、ターロウの巻き添えにされ、とんでもない大騒動が次々引き起こされることになる。
 ミュージカルの主人公は、歌手かミュージカル俳優か、さもなくばなんらかの意味で音楽と係わり合いのある職業がいい、というのがかねてからの私の持論である。劇中で突然歌になっても不自然さが突出しないからだ。
新納慎也(NY公演より)
(C)GION
 このミュージカルの主人公は、歌手やミュージカル俳優ではないものの、この設定ならば普通の芝居からミュージカル・ナンバーへの移行にまったく支障を来さない。さすが三谷、すばらしい主人公を思いついたものだ。ただ小西の音楽が、手ぬかりや違和感はないのだが、スマートなせいか、ぐいぐい観客を引っ張っていく力が見当たらなかった。
 それにしても、なぜ三谷はわざわざニューヨークの観客に自分の新作を見せたかったのだろう。喜劇が言葉の壁を越えて万国共通だということを証明したかったから? 世界一厳しいといわれるニューヨークの観客の反応を読みとり、自作のいっそうの進化(深化?)に役立たせようとしたのかもしれない。

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『TALK LIKE SINGING』
東京・赤坂ACTシアターにて1月23日~3月7日
作・演出:三谷幸喜/作曲・音楽監督:小西康陽/出演:香取慎吾、堀内敬子、新納慎也、川平慈英
料金:S席10,000円、A席8,500円
〔住〕港区赤坂5-3-2赤坂サカス内
〔問〕03-3498-6666(キョードー東京)

 

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